たまに刑事に憧れます

南 俊成 (みなみ としなり)

現場百遍とはよく言ったもので。

 

こないだ、埼玉県某市の地上げ案件について相談を受けていました。

こないだ、と言いましたが、この案件を初めて私が受けたのは半年以上前の事。

 

とあるブローカーからの相談でした。

同市内の一角を丸々地上げして、四方角地の正方形に仕上げる。

という大きなプロジェクトです。

ただ、その詳細を聞いてみると、土地の所有権は当業者に移転しているものの、

建物は元の所有者のまま。または、建物も所有権を移しているにもかかわらず、

占有者は出て行かない。また、その目処も立たない。

 

これでは融資はできません。

そこで、占有者の退去合意書を取り付けてもらう事を依頼しました。

その後、数ヶ月前にも一度、同じブローカーを連れて来社しました。

てっきり進展したのかと思うと、特に状況は変わっておらず。

??という感じでした。再度、同じ条件を伝えます。

 

で、この度、再々度来社。

聞くと、ほとんど出て行った。との事。

ああ、そりゃ良かった。

で、中にどうしても出て行かない占有者がいて、今回はその部分は抜きにする。

と。ただ、公図上、一筆の土地に世帯がいくつもあります。それは?

測量士に頼んで分筆案をすぐに出してもらい、

金消契約と同時に分筆の申請もする。

 

との事でした。すでに分筆案を出した図面もあり、

いつになく具体的。これなら取り組めそうだ。と思いました。

で、詳細を詰めます。謄本をよく確認していくと、

土地に対して、建物の数が合わない、、、

あれ、この建物の謄本は?あの建物の謄本は?

確認していくと、未登記建物がありました。

我々は未登記建物がある土地に不動産担保ローンを組めるでしょうか。

もちろん、これはできません。

もし、事情を知らない(事になっている)人が突然、

この未登記建物に対し、所有権者として登記を入れられると、

この人に地上権が発生し、当社はただの底地権者になり、

担保価値は激減し、その処分は困難を極めます。

 

債務者にとってもらう手段は

  • 登記をする
  • 当該建物を解体する

のいずれかです。そこでこれを依頼(ブローカーにですが)したところ、

「昨日現場に行ってもらったんだけど、あの建物、もう解体されてるって」

あ、そうなんですか?じゃ、問題ないか。

 

我々の方で下した、最終的な融資可能額も折り合いがつきそう。

おー、いよいよ大型案件をクロージングできるか。と思い、現地調査へ。

着いてすぐ、異変に気付きました。

「あれ?この間口狭すぎないか??」

前述した、出て行かない占有者を除き、解体して間口にする。

と言っていた箇所ですが、車一台やっとの駐車スペース。おいおい、、、

で、敷地内に足を踏み入れると、「ほとんど出て行った」との家屋、

メーターぐるぐる、電気は付いてる、テレビは音漏れ、、、おいおい、、、

 

で、解体済み。と聞いていた建物ですが、ヒビすらなく元気に建ってます!

おいおい、、、

 

南端にアパートがあり、ここも全空と聞いていましたが、

一階テナントは工場で全力稼働。

うろうろする私は大家さんと思しき方に不審がられ、、、それでも訊いてみました。

「ここ、上って賃借人さんは住んでますか?」

大家「まあ、いたりいなかったりだよ」、、、、決まりですね。

ブローカーに電話しました。

 

この話はなかったことになりそうです。失笑

 

しかし、債務者は今まで数多くのノンバンクから地上げの為の借り入れをし、

無事に返済してきた(様子が決算書類から伺われます)地上げ業者です。

割と名前も通っており、たまたまこの話になった際、別の業者さんも、

彼らのことを知っていました。

 

なぜ、あんな現場に行けばすぐわかる嘘を付いたのか??

地上げ、退去交渉は下っ端に任せて、トップである債務者は、

その状況を把握していなかったのか?

それとも現債務の支払いが重すぎて、何が何でも借り換えたかったのか?

 

よくわかりませんが、結局言えるのは、

自分の目で確かめなければ何も見えてこない。という基本的なことでした。

 

ありえないことですが、もし、話だけを聞いて鵜呑みにし、

不動産担保融資をしていれば大変なことになっていたかもしれません。

 

現場百遍は刑事の為だけではありませんね。

どうぞよろしくお願いします。

南 俊成 (みなみ としなり)

南 俊成 (みなみ としなり)

大阪府出身。
maneo/UBIfinanceの行う斬新で柔軟な企業再生、金融ビジネスに強く惹かれて入社した、やや体育会系の熱血気遣い営業パーソンです。
「営業はやる気と知識とフットワーク」をモットーに、maneo社からの資金を活かすべく日々、投融資案件の発掘に奔走中。
融資対象は事業資金、不動産活用に伴う地上げや転売資金、その他なんでもござれです。
自身もmaneoの投資家であり、案件の精査には投資家の目線をもった慎重さを心がけております。
趣味は海外旅行とムエタイ。
宅地建物取引士。TOEIC815点。